石巻市街地から車で40分。
雄大な北上川を横目に車を走らせ、山道を登り、トンネルを抜ければ、
南三陸金華山国定公園の南端に位置する雄勝町にたどり着きます。

2005年に石巻市と合併した雄勝町は、ホタテや銀鮭などの養殖が盛んな漁業の町。
太平洋に面し、町の面積の8割が山林という、山と海に抱かれた小さな町です。

震災前、4,300人ほどだった町の人口は、2019年1月現在、1,200人ほどまでに減少してしまいました。
膝丈ほどに伸びた草の陰から見え隠れする家屋の基礎が、そこにあった暮らしを物語ります。
目に飛び込んでくるのは、山々の緑と、澄んだ海の青。
どこまでも力強い、生命の色です。

雄勝湾は小さい割に水深が深く、すぐそばの山から、
森の栄養を含んだ水が伏流水となって海に湧き出ています。
特に有名な海産物が、ホタテです。
品質の良いホタテをつくるため、
1本のロープにつけるピンや間隔をルール化。
栄養たっぷりの海と、漁師たちの熱い思いで育てられたホタテは、
大きくて甘みがあり、ファンも多い逸品です。

そんな町に、漁師になりたいと新しくやってきた若者もいます。
彼らをやさしく見守り、大きく育ててくれているのが、地域のひとびとです。
「ないものはない」
でも、「あるものはある」
この町のひとは、なくなってしまったものを嘆くことはしません。
その代わり、今「あるもの」をとびきり大切にします。
あなたがこの町でフィッシャーマンになるとしたら、それは新しい「あるもの」のはじまりです。

ここ雄勝町に新しく誕生したのが、宮城県内7軒目となるTRITON BASE「TRITON OGATSU」です。
雄勝湾を一望する硯上山の麓、味噌作地区にあります。

もともとの家のつくりを活かした形で、
1階は和室、2階は洋室と、2部屋ずつ居室が整備されています。
猫の手も借りたいホタテの繁忙期に、短期ステイすることもでき、
交流スペースとなる広いリビングもあります。

「TRITON OGATSU」がある味噌作地区には、600年に渡って受け注がれる獅子舞があります。
この獅子舞は、国の重要無形文化財に指定される雄勝法印神楽の演目のひとつ。
「TRITON OGATSU」のロゴも、神楽や獅子舞といった伝統芸能からインスピレーションを受けています。

2019年3月3日。
微かに春を感じるやわらかな日差しの中、関係者や地域の人に見守られ、「TRITON OGATSU」がオープンしました。
普段は静かな雄勝の町に響くのは、陽気な笛の音と、一糸乱れぬ太鼓の音。
そして、獅子と一緒に踊り出し、笑い出す人々。

すでに雄勝地域で就業しているフィッシャーマンによる餅まきも行われました。
今ここに、新しい「あるもの」が誕生しました。
きっとこの場所が、この町にとって希望の灯りになるはずです。

聞こえてくるのは、鳥の鳴き声と、木々のざわめき。
そして近くを流れる川のせせらぎ。
ここでは、仕事で疲れた体をしっかりと休めることができます。
広い庭でBBQをしたり、目の前を流れる川で釣りや水遊びを楽しんだり。
そんなことができるのも、「TRITON OGATSU」ならではです。
