石巻市の東。太平洋に大きく突き出した牡鹿半島。
そこで目にするのは、緑あふれる山々。群青の海。
そして、海に寄り添う浜の暮らし。
人工物があまりに少ないので、「まるでスコットランド北部のようだ」と言った人もいます。
山道を車で走っていると、その名の通り野生の鹿に出くわすことも少なくありません。

牡鹿半島に数多くある浜の中心的な存在の一つが荻浜。
ここにTRITON OSHIKAがあります。
このエリアでフラッグシップとなるTRITON BASEとして、この半島の名前をつけました。

TRITON OSHIKAから浜へ向かって歩いていくと、
牡蠣の形をした白い記念碑と出会います。
「世界の牡蠣王」と呼ばれた宮城新昌氏を讃えた顕彰碑です。
沖縄に生まれ、渡米して牡蠣の養殖を学んだ宮城氏は1923年、この地で独自の養殖法の実用化に成功。
その後も研究と開発を続け、今や世界の食用牡蠣の80%が石巻にルーツを持つと言われるまでになりました。
70年代にフランスの牡蠣が病気で絶滅の危機に瀕した時に、
それを救ったのも日本の種牡蠣でした。
荻浜は、まさに世界の牡蠣の聖地なのです。

牡蠣の種付けは毎年6月に始まります。
9月になると殻付き牡蠣の出荷が開始され、
10月から翌年の早春まで牡蠣剥きシーズンが続きます。
このほか春には小女子漁、夏にはタコのカゴ漁が行われ、ナマコ漁も盛んです。

波が静かな時は海の底が見えるくらい水が澄んでいる荻浜は、
大きな会社がある浜ではありません。
個人事業主としての漁業者が集まっていて、
新規漁業者の受け入れも積極的に行っている活気あふれる浜です。
新人漁師から大ベテランまで一緒に和気あいあいと
楽しく仕事をしているのがすぐにわかるほどの雰囲気の良さがあります。
TRITON BASEのフラッグシップを置くのにふさわしい浜だと言えるでしょう。

県道の横を流れる小川に架かる橋を渡ると、
そこにTRITON OSHIKAがあります。リノベーションを担当したのは、
東京から石巻に移住して、地元の伝統料理や牡鹿の鹿肉を使った
ジビエ料理を出すレストラン「日和キッチン」をオープンさせた、建築家の天野美紀さん。
ここを拠点とするフィッシャーマンは、
宮城県漁協の石巻地区支所エリア内ならどこでも仕事をすることができます。

TRITON OSHIKAは、様々な人に開かれた場所です。
ここでどんな新しい交流、新しい熱気、新しいアイデアが生まれるか、今からとても楽しみです。
新世代のフィッシャーマンたちの活躍を、
「世界の牡蠣王」宮城氏もきっと海のどこかから見つめていてくれるでしょう。
